当法人が交通事故診療で留意している事項について

 医療法人隆由会は、都島区毛馬町と、京橋で整形外科を開設しております。
 地域医療に貢献しながら幾つかの特色を持てるよう努めており、今日はその特色の一つである「交通事故診療」についてご紹介させて頂きます。

不慮の交通事故に伴う診察と治療

 交通事故でお怪我をなされると、外傷については整形外科へ通院なさる場合が多いでしょう。
 しかし、交通事故の治療には、幾つかの論点があることも事実です。

  • 「治療できるのは誰か」という問題
  • 「どのような検査が必要か」という問題
  • 「後遺障害診断書」の問題

 当法人では、数多くの交通事故被害者の皆様を診察してきた経験上、これらに対し指針を持って対応しております。

「治療できるのは誰か」という問題

 最近、インターネットで「交通事故 治療」と検索すると、接骨院や整骨院が大量に表示されています。しかし、これには大きな問題が内在している、と当法人では考えています。

 そもそも、日本において業として治療行為を行えるのは医師(歯科医師)のみです。接骨院や整骨院を開業している柔道整復師に「治療」はできないのです。
 その証拠に、医師法には「診療」「診察」「治療」と言った用語が出てきますが、柔道整復師法には一度も出てきません。柔道整復師ができるのは「施術」です。しかも、骨折や脱臼の患部に施術を行うには医師の同意が必要となります(緊急時は除く)。

 つまり、治療できるのは医師だけであるにも関わらず、インターネットでは柔道整復師が治療もできるかのような印象を与える広告が大量に表示されている。これは、法でもって規制を考えていかなければならないような問題ではないでしょうか。
 現に、たとえば京都市のホームページでは「「交通事故取扱」等は,…(中略)…広告できません。」という警告表示が太字で表記されています。

 接骨院等への通院は、あとで後悔をする事になりかねません。
 というのも、治療を続けても症状が快癒しなかった場合、ある時期で一旦治療を終了して「後遺障害」があるかどうかの認定申請を行うことになります。その時の審査通知書には「治療の経過」という文言が頻繁に使われています。認定機関が、治療できない整骨院や接骨院への通院を「治療」として認めてくれるでしょうか。そんな保証は誰もしてはくれません。医師にかかっていれば、そもそもこのような問題に巻き込まれることもありません。

 当法人では、交通事故の治療は整形外科等の医療機関にかかるべきであると考え、診察の際にもそれをご説明しております。

「どのような検査が必要か」という問題

 最近、特に法律分野の専門家が交通事故について解説しているインターネット情報が増えており、それをご覧になっているのか、患者様から様々な依頼を受けるようにもなりました。
 その中でも、むち打ちの症状で通院していらっしゃる患者さまから「MRIをお願いしたい」という依頼が多くあります。

 当院では、こういったご依頼があった場合は、患者様のお話しをよくお伺いはした上で、医学的見地から妥当と考えられるようであれば、できるだけ患者様のご依頼にお応えするよう配慮しております。

「後遺障害診断書」の問題

 交通事故に遭われて治療を継続し、それでも症状が快癒しなかった場合、どこかの時点で「症状固定」として一度治療を終了します。
 この時、医師は「後遺障害診断」を行い、その結果を「後遺障害診断書」としてまとめます。この後遺障害診断書は、後遺障害の有無を判断する有力な資料となります。
 しかし、医大で診断書の書き方を教わる訳ではありませんので、この記載については、医師がそれぞれ独自に行っているのが実情です。

 当法人では、自覚症状や検査結果を漏らすことなく丁寧に記載するよう留意しております。

お怪我をなされたみなさまのために

 交通事故でお怪我をなされた被害者様の治療は、見えない事務負担も少なくありません。保険会社に毎月診断書を提出しなければなりませんし、治療状況の問い合わせについて書面で回答を求められることもあります。
 しかし、接骨院等がインターネットで広告をしている現状等を考え、当法人では交通事故被害者の皆様の診察と治療を積極的に行っていきたいと考えています。