「治療」ができるのは医師のみです。

  • 整骨院で「治療」は受けることができません。
  • 自賠責保険の120万円は大切に使う必要があります。
  • 整骨院へ偏重した通院では、後遺障害診断を受けられない可能性があります。

整骨院で「治療」は受けることができません。

最近、街を歩いていて驚くのが、整骨院や接骨院が「交通事故治療」というノボリを立てていることです。
どういう意図でそれを立てているのかは分かりませんが、この種の表現は、一般の皆様に誤解を与えるものであり、管轄部局は厳しい態度で挑むべきでしょう。

では、このノボリはどういった誤解を与えるのでしょうか。
治療というのは、本来医師法で定められた医行為であって、治療が認められるのは原則として医師(または歯科医師、以下同じです)のみなのです。ですので、本来、整骨院や接骨院は治療行為を行うことができず、できるのは患部への「施術」のみとされています。
つまり、こういったノボリは、整骨院や接骨院が「治療」行為をできるかのような誤解を与える可能性があるという訳です。

交通事故に遭ってレントゲンも撮れない所に「治療」を受けにいくというのは、最終的に身体に不具合が残った場合、どうでしょうか。
その不具合が、保険の概念でいう「後遺障害」として認められるためには、一生懸命治療したけれども治りきらなかったという事実が大切になります。

法律上「治療すること」が許されない場所へ何度も通ったことを「一生懸命治療した」と認めてもらうことができるでしょうか?

こういった視点から、交通事故に遭われて治療を受ける場合は、医師にかかるべきであると当クリニックは考えています。

自賠責保険の支払額120万円は有効に使う必要があります

自賠責保険では、治療費や入通院交通費、慰謝料などの必要な出費に対し一人あたり120万円まで支払ってもらうことができます。
この中で、治療費だけで120万円を使い切ってしまい、仮に後遺障害が認められなかった場合、残りの通院慰謝料は、たとえ弁護士に依頼しても地裁基準で請求するのは困難だと言う話しを弁護士から聞いたことがあります。
つまり、120万円ある自賠責保険の枠も、考えながら使わなければならないということでしょうか。

一方、整骨院や接骨院は、交通事故の施術が自由診療によって行われていることに着目して、ノボリを立てて営業している訳ですから、驚くような金額が保険会社宛に請求されていることも少なくないのです。

医師は、自由診療とはいえ、ルールにのっとった請求を行いますし、そもそも診療報酬制度自体が明確に定められているので、過剰な請求はできません。

2010年10月27日付の読売新聞インターネット記事によると、会計検査院の調査によって、柔道整復師で施術を受けた904人の患者さんの内、6割以上にあたる597人が、保険の請求内容と自身が訴えた症状が異なっていると回答したとのことです。

このような請求手法によって自賠責保険が認めている120万円を使い果たしてしまわないためにも、医療機関で治療を受けられる方が安心と言えるのではないでしょうか。

整骨院に偏重した通院では、後遺障害診断ができない可能性もあります

交通事故でお怪我をなされた場合、通院ですることはリハビリが中心となり、毎日医師の診断を受けるという訳ではありません。しかし、医師はカンファレンスによって患者様の状況についてリハビリスタッフから報告を受け、適切な方針を定めながらリハビリの計画を策定します。
そして、二週間に一度、或いは月に一度程度診察を行って、患者様の状態を確認しながら必要に応じてリハビリ計画を修正するなどの対応を行います(診察の頻度は患者様により異なります)。
これが、本来的なリハビリのプロセスですが、整骨院や接骨院に偏重した患者様の中には、初回だけ医師の診断を受けてそれをもって整骨院へ通院を重ね、治療費打ち切りの時期になってから最後の後遺障害診断のために医療機関を訪れるというケースも少なくありません。

このような場合、事故から症状固定時までの治療の経過や患者様の自覚症状の推移などについて、一切医師は把握してい訳ですから、後遺障害診断書を書けない場合が出てきます。

また、整形外科医の多くは、自賠責保険会社へ提出するための診断書には「柔道整復師の施術は同意しない」という一文を付記しています。

このようなことを考えても、交通事故でお怪我をなされた場合、医療機関へ通院を重ねていくことが大切と言えるのではないでしょうか。

正しい情報に基づいて行動の選択を

今の世の中、街を歩けば「交通事故治療」と言うノボリが目につき、インターネットで検索すれば、整骨院や接骨院のリスティング広告がたくさん表示されます。

しかし、本稿で検討してきたように、交通事故で治療ができるのは医師のみであって、被害者様にとって大切なことは、継続して治療を行い快癒を目指すことです。

治療ができない場所で行われる施術に偏重した経過は、最後の最後に、被害者様が後悔しなければならないような結果を及ぼしかねません。

当クリニックでは、運動器リハビリテーションセラピストの資格を有した柔道整復師が、医師の指導・監督の下でリハビリ施術を行っており、理学療法機器によるリハビリのみならず、手技マッサージを受けることも可能です。いわば、整形外科と施術所が合体した治療ができるため、整骨院へ通院する必要もなくなります。

治療方針でお困りの患者様は、お気軽にご相談くださいませ。